天皇即位

日本書紀 巻第八 仲哀天皇

 閏年十一月四日、越国から白鳥四羽を貢った。鳥を貢る使いの人が、宇治川のほとりのに宿った。蘆神蒲見別王がその白鳥を見て、「どちらに持っていく白鳥か」と問われた。越の人が答えて「天皇が父の王を恋しく思われて、飼いならそうとしておられるので、貢るのです」といった。蒲見別王は越の人に、「白鳥といっても、焼いたら黒鳥になるだろう」といわれた。そして無理に白鳥を奪っていってしまった。越の人はそれを報告した。天皇は蒲見別王が、先王に対して無礼なことをにくまれて、兵を遣わしてこれを殺された。蒲見別王は天皇の異母弟である。
 ときの人はいった。「父は天であり、兄(仲哀天皇)は天皇である。天をあなどり君に叛いたならば、どうして罪を免れようか」と。この年、太歳壬申。