第66代 一条天皇 986年6月23日〜1011年6月13日

大鏡 第一巻 帝紀 一 六十六代 一条院

 つぎの天皇は一条院天皇と申しあげました。〔御緯は懐仁です。〕この方は、円融院の第一の皇子です。御母は皇后詮子さまと申しあげました。この方は太政大臣藤原兼家公の第二番目のご息女です。この天皇は、天元三年六月一日に、兼家公の東三条の家でお生まれになりました。東宮にお立ちになったのは、永観二年八月二十八日です。時に御年五歳でいらっしゃいました。寛和二年六月二十三日に、即位なさいました。時に御年七歳でいらっしゃいました。永祚二年正月五日にご元服なさいました。時に御年十一歳でいらっしゃいました。ご治世は二十五年間でした。御母詮子さまは十九歳でこの天皇をお生み申しあげたのです。この御母后のことを東三条女院と申しあげます。この女院の御母は、摂津守藤原中正のご息女です。〔さて、天皇は寛弘八年六月十三日にご譲位になり、同月二十二日に崩御なさいました。時に御年三十二歳でいらっしゃいました。〕