940 藤原忠文 征夷大将軍

三国遺事 巻第一

  紀異 第一

伽耶

〔駕洛記の賛によると、紫色の嬰が一つ垂れてきて、六個の卵を(天から)降らした。(その中の)五個は各邑にかえり、一つはこの城にあって、首露王となり、残りの五個は各々五伽耶の主となったといわれているが、金官(国)が五つに入らないのは当然である。それが『本朝史略』に、金官までその数に入れ、(さらに)昌寧を加えて記録しているのは間違いである〕。

 阿羅〔羅は耶とも書く〕伽耶〔今の咸安〕、古寧伽耶〔今の咸寧〕、大伽耶〔今の高霊〕、星山伽耶〔今の京山、あるいは碧珍だともいう〕、小伽耶〔今の固城〕である。『本朝史略』には、太祖の天福五年庚子(九四〇年)に、五伽耶の名称を改めたとして、一つは金官〔金海府となる〕、二は古寧〔加利県となる〕、三は非火〔今の昌寧とあるが、高霊の誤りであろう〕、残りの二つは阿羅と星山だといっている〔上の注と同じである。星山はあるいは碧珍伽耶ともいう〕。