三国志 魏書 烏丸鮮卑東夷伝 第三十〔東夷伝〕

三国志 魏書 烏丸鮮卑東夷伝 第三十
 〔東夷伝
その年の十二月、倭の女王へのねぎらいの詔書が下された、「親魏倭王卑弥呼に制詔を下す。帯方太守の劉夏が使者をつけて汝の大夫の難升米、副使の都市牛利を護衛し、汝の献上物、男の奴隷四人、女の奴隷六人、班布二匹二丈を奉じてやってきた。汝ははるか遠い土地におるにもかかわらず、使者を遣り献上物をよこした。これこそ汝の忠孝の情のあらわれであり、私は汝の衷情に心を動かされた。いま汝を親魏倭王となし、金印紫綬を仮授するが、その印綬は封印して帯方太守に託し、代って汝に仮授させる。汝の種族のものたちを鎮め安んじ、孝順に努めるように。汝の遣ってよこした使者、難升米と牛利とは、遠く旅をし途中苦労を重ねた。いま難升米を率善中郎将となし、牛利を率善校尉となして、銀印青綬を仮授し、引見してねぎらいの言葉をかけて下賜品を与えたあと、帰途につかせる。いま降地交龍文の錦五匹、降地芻粟の罫(けおりもの)十張、青降五十匹、紺青五十匹をもって、汝の献上物への代償とする。加えてとくに汝に紺地句文の錦三匹、細班華の罫五張、白絹五十匹、金八両、五尺の刀二ふり、銅鏡百枚、真珠と鉛丹おのおの五十斤ずつを下賜し、みな箱に入れ封印して難升米と牛利に託し、持ちかえって目録とともに汝に授けさせる。これらのすべては、それを汝の国のうちの者たちに示して、朝廷が汝らに深く心を注いでいることを知らしめんがためのもので、それゆえことさらに鄭重に汝に良き品々を下賜するのである。」